ミシマ青空通信

ミシマ青空通信 №36

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七十二候の一つで、こうがんかえると読みます。清明の次候で4/104/14頃に当たります。鴻雁とは渡り鳥のガンのことで、日本で冬を過ごした雁が北へ帰っていく頃です。雁は渡りをする際、休むための枝をくわえて南に向かい、津軽の浜に着くと不用になった枝を浜辺に落とし、再び帰る際にそれを拾って北に向かうそうで、後には生きて帰れなかった雁の数だけ枝が残ったそうです。浜の人たちがその枝を集めて風呂を焚き、供養した言い伝えがあるという、かつてのテレビCMをご記憶の方も多いことでしょう。

 今年の桜がいつまでも散らないのは、毎年見に来る人達を辛抱強く待っているからなのかと思っていたら、東京での3月下旬以降の1センチ以上の積雪が32年ぶりという、329日の積雪が桜の芽吹きを抑えていたからなのだそうで、お花見を自粛しなければならない今年としては皮肉な巡り合わせでした。

世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからましという、在原業平(ありわらのなりひら)の有名な和歌があります。現代語訳は、この世の中に、全く桜というものがなかったなら、春を過ごす人の心はどんなにのどかであることでしょう。となりますが、今年は、お花見を断念せざるを得なかったせいか、たえて桜のなかりせばの心境を少し体験できたように思います。 とは言え、普段あまり注目しなかった近所の桜や、通勤途中に目にする一本の桜をあらためて観賞するなど、思いがけない新たな発見も数多くありました。その他にも、不自由な生活を強いられるようになり、普段は気にもかけず当たり前と思っていたことが、いかに当たり前ではなく有り難いことであったかを再認識させられることにもなりました。巷ではマスク不足が続いていて、わずかに販売されることはあっても通常の10倍以上という高値です。需要と供給の原理からすると当然の結果ではありますが、まさかマスクを手作りする時がくるとは、誰も予想しなかったことでしよう。一方、マスクの作り方をSNSで公開している方もおられます。また、プロスポーツの選手やミュージシャンの中には、自宅等からそれぞれのメーセージを発信して、外出を控えている方たちを応援しています。SNSは本来このように活用すべきということを、すべての人が認識して欲しいものです。

 不自由な生活はまだ続きそうですが、収束の日は必ずやってきます。それまで、皆で協力し合って、何とかこの難局を乗り切りましょう。


                             首都圏営業部  新井山 勲

2020,04,13